「抱っこ法」とは

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絆を育てる、心の抱っこ「抱っこ法」

抱っこ法の「抱っこ」とは、気持ちごと抱きしめる「心の抱っこ」のことです。 抱っこ法は、心のつながりに注目した子育て、心でつながる関係性を育てるための方法と考え方について研究と実践を重ね、発展し続けています。

 

子どもでも大人でも、ハンディがあってもなくても、誰もが同じように心をもっています。ただ、人はそれぞれの事情や状況によって、表現のしにくさやつながりにくさを抱えています。様々な人がいるこの世の中で、心のつながりに注目し実践を重ねながら発展してきた抱っこ法は、誰にでも優しく、子育てにも、子育て支援の現場でも、あらゆる子どもや成人の方に有効で、すべての人間関係に活かすことができます。

 

抱っこ法は1987年、発達が心配な子どもや、自己表現やコミュニケーションにハンディをもつ子どもの療育的な支援からスタートしました。独自に研究・実践を続ける中で、抱っこ法の考え方と支援の方法はハンディの有無にかかわらず、あらゆる子どもにとって有効であることがわかってきました。

 

親がわが子に、子育て支援者が親子に、子どもに関わる職種の人が職場で実践し、築いていける良好な関係は、子どもにとって、すべての発達の支えとなります。

大切にしていること

誰もが持っている「本来の力」を信じています

つながりが希薄になった現代で、誰もが本来の自分を発揮するのに苦労しています。本来の力が無くなったわけではありません。自分自身ともつながりにくくなったせいで、見えづらくなってしまっただけです。

 

私たちは、人とのつながりや自分自身とのつながりを取り戻しながら、本来の力が発揮されやすくなるよう、支援していきます。

行動の奥には、大切な気持ちがあります

行動の奥には、その行動に至る理由・気持ちが存在しています。気持ちはどんなものであっても大切にしてもらえると嬉しいものです。たとえば、悲しい気持ちや不安な気持ちを、自分ではどうにもできないために、でたらめな行動になってしまうようなことが、どの子にも起き得ます。

 

私たちは、表現下手になっている子どもたちのどんな気持ちも大切にし、できる限りの代弁や、気持ちと行動のねじれを優しく解くことに尽力し、その子が本来の姿を取り戻すのを手伝いたいと思っています。

現れている言動で、子どもを判断しません

大人も本来の自分とつながりにくくなっている現代ですから、子どもたちも健全に育っていくのに苦労しています。子どもたちの表面に現れている行動が、必ずしも、本人が表現したいものとは限りません。行動 = 気持ちとは限らないのです。むしろ気持ちとは逆の行動もたくさんあります。

 

私たちは、子どもの気持ちと行動の不一致に優しい眼差しを向け、理解し、必要な分だけ導いていく大人の役割は大きいと考えています。

子どもの成長したがっている気持ちに応える大人が必要です

気持ちを認めてもらうことと同じくらい、行動や表現のしかたを身につけながら成長できる喜びが、子どもには必要です。一見そうは見えない行動をする子どもにも向上心があります。成長したがっている気持ちはどの子にも切実にあり、その願いに応えてくれる身近な大人を必要としています。

 

私たちは、「そういう気持ちがあったんだね」と認めることを大切にし、「でも今はこんなふうにしようね」と誘い、導くことを大切にしています。

身体に触れることで心に触れていくことができます

子どもの気持ちと行動の不一致を感じ取っていくためにも、子どもの行動が整うように応援するときにも「触れる」ことが大切です。身体に触れてもらうことで、待ってましたとばかりに始まる表現もあれば、静かに奥の方からじわりと現れる表現もあります。

 

私たちは、表現されているものや目に見えるものだけでなく、身体が秘めている些細な表現を頼りに支援を進めていくことを心がけています。

支援者である私たちも、自分の成長を止めません

親子の育ち合いを支援する私たちもまた、日常の中で「つながり」について考え実践し、親子関係を生き、学び続けています。親子関係や人間関係、気持ちと行動についてなどの学びは、本来、日常にこそ存在します。

 

私たちは、自分の体験と結びついた理解こそが、支援の場で大きな力になると考えています。そのためにも、自分自身を成長させ続けることを大切にしています。